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a ray of hope

希望のひかりとならんことを。


by ganref

震災後の医療現場

震災から明日で1週間経とうとしています。医療人の末端に名を連ねてはいますが、自分自身ではどうにもならない無力感を抱えています。せめて被災地の病院の方々の今を、少しでも多くの人に伝えることが出来れば、と思います。原文のまま転載させていただきます。

<岩手3/14=県立A病院>
病院はライフラインが止まったままですが健在です。隣の80床の病院が地震により使用不能となり、当院に50名の患者が収容され、さらに沿岸まで25~35kmのために被災した患者さん、外傷の方など来始めており、24時間体制で特別救急医療体制を布いて頑張っています。職員の士気は非常に高いです。 ”みんなで支えよう岩手! がんばれ岩手!”を合言葉に再生・復活の意味するグリーンリボンを全職員が胸に付けて、一人ひとりがキーパーソンとなり働いています。院長はアクシデント対策と次の日の戦略を考えているだけです。当院の職員がこれだけの仕事を出来るのはメディエーターマインドが少しずつ浸透してきた表れと思います。話が変わりますが、当院の職員含め医療局職員の犠牲者、行方不明者が多数あり、壊滅的な被害を受けた市町村は数多く、死者も発表された数を大幅に上回るようです。とにかく家が一軒の残っていない町がたくさんなるのです。被災者の方からまるで地獄絵のようだと泣いていました。5歳の子供も余震のたびに心的外傷で泣き叫んでいます。とにかくやるだけやってみます。

<岩手3/14=県立B病院>
お見舞いいただき,ありがとうございます。本日,ようやく電気が来ました。水とガスはかなり早くからリカバリーしました。しかしガソリンと灯油が足りません。病院では患者食の確保に難渋しております。沿岸部の同僚の仲間のことを思えば,気合いが入ります。これからやるべきことは山のようにありますが,身体が悲鳴を上げぬように頑張ります。

<仙台3/15=仙台A病院>
家族も含め何とか無事でおります。宮城県は悲惨な状況で、災害拠点病院の当院は、患者対応に追われており、私も病院に詰めたままです。昨日電気がなんとか復旧しました。家族の消息のわからぬ職員も家に帰れず働いております。

<仙台3/15=大学病院>
病院では薬剤の不足、ガスの供給がないために、滅菌などの機器も作動できず、手術なども今後どうするのか、苦慮している状況にあります。そうとはいえ、幸い水や電気がきているので、他の施設や湾岸の皆さま方に比べれば、本当に幸せだと思います。すでに、地域拠点の石巻赤十字病院には現段階でも600名を超える中等度・重症の患者さんが搬送されており、今後、東北大学病院も含め、本格的な災害後医療に取り組む必要が出てきています。高速道路は緊急車両のみで物流がストップしています。新幹線も高架が破損しているようで復旧には時間がかかりそうです。交通の手段については、相当な日数が制限されると思います。加えて、先生も御存知のように、教室や多くの診療科がある医学部3号館は古い建物で、余震発生の可能性もあるため、今は立ち入り禁止のため、私どもも含め、多くの診療科の医局が壊滅状態(医局の状態がコンピューターなども含め、いろいろなものが破損している医局が数多くあり、いまだ後片付けもできていない状況)にあります。そのため、私たちは検査部も含め、被害が比較的少なかった新病院東4階の感染管理室に常時いる状況です。教室では、感染症診療・感染管理についての対応(中長期も含め)を開始することになり、現在、教室のスタッフで、当面、大学での対応(災害時の感染症対策:医療施設・避難施設での指導、職業感染対策:針先しなども含め)のプランニングをしてもらうとともに、県や市とも連絡をとり、感染症対策の対応も協議することになっております。阪神淡路大震災の際も、避難民の方々が、疲れや体力低下のために肺炎や気管支炎、感冒などの呼吸器感染症を起こすことが多く報告されておりますし、津波や洪水の際には外傷に伴う破傷風やレプトスピラなどの感染症、さらに、ハイチでもコレラなどの発生が報告されるなど、肺炎や創部感染症、感染性腸炎など、今後は避難民の健康管理の中でも「感染症」をいかに管理していくかが大きな問題となってくると思われます。事実、外来の患者さんにも発熱を訴えて来院される患者さんも増えてきており、入院・外来一般患者さんの感染症、避難民の方の感染症対策:抗生物質などの医薬品の不足や、破傷風トキソイド、アルコールなどの消毒剤の不足、水が出ないのでなかなか手洗いができないことやトイレなどの管理など、問題が山積です。私たちにとっても初めての経験ですが、全力で対応していくつもりでおりますので、皆さま方のご支援も含め、何卒よろしくお願い申し上げます。

私達の県でも、患者さんの受入や看護、介護職員の派遣の要請が始まりました。現地に赴く事は出来ませんが、少しでも何らかの力になりたいと強く思います。
by ganref | 2011-03-17 13:07 | Prose